初めに
日本語教育の現場では「ひらがな」を覚えてきてもらってから来てもらう学校と、「ひらがな」を教えながら日本語を覚えてもらう学校と2種類があります。
前者は日本の学校に多く、後者は書くことより話したい!という英語圏の方々がいる学校です。
私のいた海外の学校では本当にゼロから日本語を勉強する方々が多かったです。
ですので「教室のことば」を覚えてもらった後授業を開始します。
またはじめはローマ字で書くことになります。結構大変ですので是非黒板で書き方等を確認しておくと緊張しないで授業に集中できます。
教室のことば
授業の前に「教室のことば」「毎日のあいさつ」をしっかり覚えてもらいます。そしてその言葉だけを使って直接話法で会話を進めていく事になります。
始めましょう
終わりましょう
休みましょう
わかりますか。
もう、一度(おねがいします)
いいです、
違います。
名前
場合によってはもう数個覚えてもらった方が良いかもしれません。
「もういちど」「はい、わかります」「わかりません」「しつもん」といった言葉でレスポンスが期待できますので教科書以外のことばを更に足しておくと良いでしょう。
ここではそれらのことばを覚えてもらった前提で導入を試みます。
単語
単語については教え方は2つあります。一つは勉強をしてきてもらってこの場では確認をしてもらう進学校方式。
もう一つはテキストなどで触れた時にその都度説明する方法です。
学校の方針にもよりますが今回はその都度チェックしてもらうようにしましょう。
導入1
「」…は話す言葉。
黒板…に書く言葉です。
()は動作や注意点などを書いています。
基本は練習A→練習B…と進めていく方法が一般的です。
練習A1
練習A1では名前と国籍を言えるように練習してもらいます。
※直接法で教えていくので英語は使わずに練習します。その為PCカードは大量に持っていきましょう。
(あいさつからはじめてもいいでしょう)
T「はじめましょう」
(黒板にネームプレート用紙を置いて自分の名前を書き、書いたネームプレートをもって)
T「わたしは〇〇です。」
(まずはネームプレートを渡して書いてもらいます「おねがいします」と言って書いてもらいます。それか授業が始まる前に説明する方法もあります。)
T「わたしはにほんじんです」
(PCカードにローマ字・ひらがなを併記したものを置いておきましょう。また事前にどの国から来ているか分かる場合は事前に記入を。)
黒板…1.N1はN2です(黒板にはローマ字で)
私は〇〇です。
日本人です。
(実際に書くときには Watashi wa 〇〇desu と書きます。その後黒板の例文として書いた上にN1は…の文型を書いてあげます。)
※ここからは生徒さんが自分と分かるように動いて少人数の教室なら一人ずつ名前を呼んで「わたし」という意味を考えてもらいます。
練習タイム
T「[(だれかを指名して)お願いします。」
(この時に教室内でシャッフルしてお互いに名前を言ってもらったりすると良いでしょう。Aさん→Bさん等)
練習A2
次に他の人を説明するときには「さん」を付ける事、それから国籍についても言えるように導入をしていきます。
(次に教える職業がすぐわかるような一覧表かPCカードを黒板に貼ります。)
補足資料
nihongo-kyouzai-irasuto.hateblo.jp
T「ミラーさんは先生です。」
(先生のイラストを指さしながらがよいでしょう。)
黒板…ミラーさん は せんせい です。(ローマ字で導入する)
T「ミラーさんはアメリカじんです」
黒板…ミラーさんは アメリカ じん です。
(国籍についても言えるようにここで一覧表を見せます。)
練習タイム
国籍・名前についての練習をしてもらいましょう。
もう名前が分かっていますので「〇〇さん。Aお願いします。」という指示が可能です。シャッフルして一覧表やPCカードで練習してもらいましょう。時間があれば生徒同士で練習をしてもらう事も可能です。クラス次第になりますが。
練習B1.2
ひらがなが読めるクラスでは練習を各自してもらいます。難しい場合はローマ字を振ったオリジナルの問題を解いてもらうのが良いでしょう。
また書くことを苦手とする方もいますので隣同士で練習してもらいます。
ここで使用できる言葉は「〇〇さん、お願いします。」になります。
練習C
ここでは「始めまして」という表現を勉強してもらいます。AさんとBさんの会話であることをジェスチャー多めで教えていきましょう。
また「〇〇から来ました」という場所は何もカードやイラストがない状態で説明は難しいです。しっかりと事前に会話文を貼り出せるようにしておきましょう。
あいさつは実際本当にゼロから勉強する方以外は聞いたことがあるフレーズですので「れんしゅう お願いします」等の支持で教室を二つに分け練習してもらいます。「もういちど」等の指示語で練習してもらい最後に二人ずつ前に来てもらって発表してもらうと尚効果的です。
まとめ
練習A1の導入の仕方についてでした。PCカードや教室のことばを駆使してみましょう!
導入の仕方や練習のさせ方は人によって様々です。ただ海外で特に英語圏の方々はしっかりとした形やちょっとした変化に対して敏感に反応してきます。
「いいです」だけを使用して褒めていたら、別の先生が「いいですねぇ」と使ったばかりに「ねぇ」とはどんな意味なのかと授業が中断して10分くらい説明したりという授業もあったとか…。
学校の進み具合や日本の大学へ短期間で入学したい!という学生さんが多い学校ではそのような事は起こらないのですが、日本語に触れる機会が極端に少なくなるアメリカやヨーロッパの語学学校で教える際にはしっかりとしたコントロールをすることを日頃から心がけておいた方が良さそうです。
A2/A3の教案出来ました!